MTBは32インチの時代になる?大径ホイールのメリットと課題を考える

MTB

最近、MTBで「32インチ」というホイールサイズを見かけるようになりました。

今のMTBでは29インチが広く使われていますが、それより大きな32インチが登場したら、走りはどう変わるのでしょうか。

自転車に関わる仕事を約10年してきた自分としても、気になる話題です。今回は試乗レビューではなく、これまで自転車を見てきた経験から、32インチMTBの可能性について考えてみます。

29インチが出てきたときも、最初は驚かれた

ホイールサイズが変わると聞くと、「大きくして本当に扱いやすいの?」「今のサイズで十分じゃない?」と思う人もいるかもしれません。

29インチが広がり始めた頃も、今までのホイールサイズとの違いに驚いた人は多かったはずです。それでも現在は、29インチがMTBの選択肢として定着しています。

もちろん、過去に29インチが普及したからといって、32インチも同じように広がるとは限りません。ただ、新しいサイズが登場したときは、実際にどんな走りをするのかを見てみないと分からない部分があります。

32インチで気になるのは、障害物を越える感覚

大きなホイールのメリットとして期待されるのが、段差や木の根、岩などを越えるときの走りです。

ホイールが大きくなることで、障害物に当たる角度がゆるやかになり、前に進む力を保ちやすくなると考えられます。荒れた道で、29インチとは違う走破性を感じられるかもしれません。

イメージするのは、段差が**「壁」じゃなくなる感覚**です。

もちろん、私は32インチのMTBに乗ったわけではありません。だから「必ず走りやすい」とは言えません。それでも、ホイール径が変わることで、段差の越え方や荒れた路面での感覚がどう変化するのかは、とても興味があります。

大きくなれば、扱いやすさや車体設計も変わる

ホイールが大きくなると、バイク全体の設計にも影響が出ます。

フレームやフォークの寸法、ホイールベース、車体の重さなどを、32インチに合わせて考え直す必要があります。大きなホイールの走破性を活かしながら、狭いトレイルでの曲がりやすさや、低速での扱いやすさをどう両立するのかも気になるところです。

ホイールだけを大きくすれば完成、という話ではありません。乗りやすいバイクとして仕上げるには、メーカーの設計が大切になりそうです。

小柄な人にも合うのか

32インチが広がるとしたら、ライダーの身長に合わせた設計も課題になると思います。

大きなホイールを収めながら、フレームを小さく作るのは簡単ではありません。小柄な人でも無理のないポジションを取れるのか、ハンドル操作や乗り降りがしやすいのか。サイズ展開にも注目したいです。

「大径ホイールが合う人には魅力的だけれど、誰にでも同じように合うわけではない」というのは、これまでのMTB選びと同じかもしれません。

32インチは29インチに置き換わるのか

32インチ用のタイヤや試作車はすでに登場していますが、どのメーカーでも普通に選べる規格になるかは、まだこれからです。実際の製品やレースでの使用例も出始めていて、これから評価が進む段階といえそうです。

自分は、すぐに29インチがなくなって32インチに置き換わるとは思っていません。走る場所やライダーの体格、好みによって、合うホイールサイズは変わるはずです。

ただ、32インチが新しい選択肢として定着すれば、今までとは違う走破性を求める人にとって面白いバイクになるかもしれません。

32インチはレースで結果を出し始めている

2026年は、32インチのマウンテンバイクが大きなレースで使われる場面が増えてきました。

ワールドカップでは、Thömusの32インチバイクに乗ったアレッサンドラ・ケラー選手が3位に入りました。Trekの試作バイクでも、グウェンダリン・ギブソン選手が2位に入っています。

また、KTMの32インチ試作バイクは、マラソン競技の世界選手権で優勝。Stollのバイクも、ケープエピックのステージで勝利しています。

こうした結果を見ると、32インチは「いつか登場するかもしれない」という段階から、実際のレースで試され、結果も出始めた段階に進んだと言えそうです。

ただし、まだ試作車や一部の選手によるテストが中心です。チーム内で29インチと32インチを使い分ける例もあり、32インチが29インチに取って代わると決まったわけではありません。これからどんなコースや選手に合うのか、引き続き注目したいです。

32インチ、すぐに買うべき?

近いうちに、32インチのMTBを一般販売するメーカーが増えてくるかもしれません。発売されたらすぐに買うべきなのか、気になっている人もいると思います。

もちろん、発売されたらすぐに購入するのも大いにありです。ただ、私が気になっていることもいくつかあります。

  • 32インチ対応のパーツが、まだ主流ではない
  • タイヤの選択肢や入手しやすさが限られる可能性がある
  • サスペンションフォークの選択肢がまだ少ない

今後、32インチが広く普及すれば、各メーカーから対応パーツが増えていくと思います。ただ、発売直後は選べるパーツが少なく、タイヤやフォークを交換したくても、選択肢が限られるかもしれません。

一方で、32インチのバイクはレースでも使われ始めていて、表彰台や優勝といった結果も出ています。メーカーが開発を進め、プロ選手が実際に乗っていることは、性能への期待につながります。

ただし、レースで使われるバイクは、選手やチームが専用のサポートを受けている場合もあります。市販車を購入するときは、性能だけでなく、交換用パーツの入手しやすさや、長く乗るためのサポート体制も確認したいところです。

発売直後に新しいものを試してみたい人には、32インチは魅力的な選択肢になりそうです。パーツの選びやすさや今後の規格の動きも重視したい人は、対応製品が増えてから検討するのもよいと思います。

これからのMTBがどう変わるのか楽しみ

32インチMTBは、まだ誰もが知っている定番とは言えません。乗り味や扱いやすさについても、これから分かってくることが多そうです。

それでも、大きなホイールによって段差や根、岩を越える感覚がどう変わるのか。29インチが広がったときのように、MTBの新しい可能性につながるのか。自転車の仕事をしてきた一人として、これからの動きが楽しみです。

段差が「壁」じゃなくなる感覚は、本当にあるのか。
32インチMTBがどんな走りを見せるのか、今後も注目していきたいと思います。

最後に

今はまだ、32インチという新しいジャンルに馴染みがなく、疑問や不安を感じる人も多いと思います。

これまでも、29インチのMTBが登場したときや、ロードバイクにディスクブレーキが採用され始めたときには、否定的な意見がありました。それでも、時間がたつにつれて性能や使いやすさが知られ、少しずつ受け入れられていきました。

32インチも、これから実際に乗る人が増え、良さや課題が分かってくることで、自転車の新しい選択肢のひとつになっていくのかもしれません。

個人的には、将来グラベルバイクにも32インチが採用されるのではないかと想像しています。もし実現すれば、荒れた道でどんな走りを見せてくれるのか、とても楽しみです。

そんな想像もふくらませながら、これからの自転車の進化を追いかけていきたいと思います。

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